多くのテクノロジー企業が勃興するインド。経済発展が目覚ましく、日本以上にスタートアップやユニコーン企業が多く存在する地です。そんな急成長するインドに目をつけ、日本のテクノロジー企業もインドへの投資を加速しています。その代表的な企業が「グノシー」「じげん」「アカツキ」です。今回はそれら企業が出資したインド企業をまとめてみました。
グノシー出資企業

参考:株式会社Gunosy(グノシー)|情報を世界中の人に最適に届ける
グノシーは2018年7月に、以前グノシーの取締役を務めていた木村氏を招致してシンガポールに「Gunosy Capital」を設立しました。
このVCの概要としては国内外のブロックチェーン、シェアリングエコノミー、AIといった領域を中心に投資育成を行なっていくそうです。
余談なりますが、木村氏といえば「ペイモ」で有名なAnyPayの代表であり、そのAnyPayはグノシーと合弁でブロックチェーン専業企業「LayerX」を設立した経緯がありますね。今回の投資と関係があるかは分かりませんが、ブロックチェーン含めてテクノロジーには強い印象を受けます。
Zoomcar

参考:Self Drive Car Rental in Bangalore| Car Hire | Rent a car - Zoomcar
グノシーが設立したGunosy Capitalの初出資になる「Zoomcar」。インドでオンラインレンタカー事業を展開しているスタートアップ企業です。領域としてはシェアリングエコノミーに該当します。
Zoomcarのビジネスモデルとしては米国の「Zipcar」に近いモデルになっています。サービス内に登録されている自動車を検索・解錠・支払いまでアプリ上で行える仕組みを構築しています。インド国内で25都市以上を拠点に持ち、サービスを展開している地域は29都市。およそ270万人以上のユーザーが登録していて、自動車の保有台数は3500車にのぼると言われています。
さらにZoomcarは自転車のシェア事業もすでに展開しており、モビリティにおいて大きな成長が予測されます。
今回Gunosy CapitalがZoomcarへ出資を決めた背景にはインドの経済成長率の高さ以外に、インドという国自体が自動車の所有率が低い点がありました。この課題を解決するのに適した事業がオンラインによるカーシェアリングサービスを展開するZoomcarだったのです。
ZoomcarはGunosy Capital以外にもFord Smart MobilityやSequoia Capitalなどが出資しており、累計調達額は1億ドルを超えています。
じげん(創業者:平尾丈氏)出資企業

参考:株式会社じげん || ZIGExN Co., Ltd.
じげん…という企業が出資したというより創業者である平尾氏関連の投資会社から調達を行なったそうです。どちらかというと企業より個人が投資したというイメージに近いのかな?
ちなみに今回の出資はシリーズEラウンドでリード投資になるそうです。凄い。
Droom Technology

参考:India's Most Trusted Motorplace to Buy & Sell Used Cars, Bikes, Scooters Online | Droom
インドのオンライン自動車流通プラットホーム「Droom」を運営するDroom Technologyが平尾氏関連の投資会社よりシリーズEで3000万ドルの出資を受けました。
Droom Technologyは2014年11月に創業。最初は中古車のオンライン取引から事業を始め、今では新車も取り扱っています。サービスの特徴としては取引記録や写真を通じ、取引される自動車を10ランクに分類する認証評価システムを備えている点です。
すでにインド国内で100都市以上で事業を展開しており、オンラインでの自動車取引市場で7割のシェアを獲得しています。売上高は約7億5000万ドル、純利益は約2000万ドルに及び、2020年までにIPOを目指しているとのこと。
Droom Technologyの創業者Sandeep Aggarwal氏はシリアルアントレプレナーで以前は「Shopclues」というインド初のECサイトを立ち上げました。
今回のシリーズE調達前には2018年5月でシリーズDラウンドの調達を行なっています。出資したのは日本のデジタルガレージと豊田通商など。累計調達額は1億2500万ドルを超えています。
じげん平尾氏から調達した資金は海外市場とサービスの多様化へ投入する予定だそうです。
アカツキ出資企業

参考:株式会社アカツキ(Akatsuki Inc.)
アカツキの傘下にあるエンターテインメイト×テクノロジー特化型ファンド「AET Fund」がインド市場への投資を開始したとのこと。
AET Fundといえば2017年10月に組成された「Akatsuki Entertainment Technology Fund」の略称。対象となる企業は日本国内に限らずグローバルでの投資を対象としています。投資規模は最大5000万ドルになっており、今回のインド企業投資前には9月にHipDotという米国のコスメECサイトに投資しています。
投資領域としてはエンターテイメント全般になるそうです。アカツキの既存事業であるゲームはもちろん、音楽やスポーツ、フィットネスやストリーミング、VR/ARなどエンタメに関わる事業へは何でも投資対象になるのだとか。もちろんテクノロジーが組み合わさっている点が鍵となります。
インドへの投資を決めた背景には人口が13億人を超えている点、スマホユーザーが3億人を超えてライフスタイルに大きな行動の変化が起きている点です。すでにインドに投資責任者を置き、毎月30社以上のスタートアップと面談しているようです。
Stay Abode

参考:StayAbode | Friendly, Furnished Housing
ミレニアル世代向けのコビリングスペースを展開するスタートアップ。インドのミレニアル世代は約3年おきに転職と転居を繰り返すため、簡単な手続きで入居できる住宅を提供しています。
The Wedding Brigade

参考:Home - The Wedding Brigade
メディアEC、結婚式場など、総合的なウェディングのワンストップサービスを展開するスタートアップ。インド国内では毎年1000万組以上のカップルが結婚しており、ウェディングに関わる課題解消を中心にサービスを展開しています。
Yulu

参考:Yulu - Pedal the Change - Home
マイクロモビリティプラットホームを展開するスタートアップ。インド国内で社会問題になっている交通渋滞を、シェア自転車やシェアスクーターによって解決することを目指しています。創業者はインド発のユニコーン企業InMobiの創業メンバーAmit Gupta氏が設立しました。
まとめ
企業によって投資先の毛色が違う風に感じます。仕方ないのかな?ただモビリティが人気ですね。グノシー、じげん、アカツキ共にモビリティを行うスタートアップへ投資は行なっています。また気になるのはアカツキの出資先。インドの独自感が感じられ、ユニークな企業に投資するイメージが感じられました。
今後はどのようなインド企業に出資していくのか、そしてどのような日本のテクノロジー企業がインドへ出資を行うのか楽しみです。経済成長率が高いインドだからこそ日本から出資を試みる企業が増えていきそうな予感はします。
代表的なのはSoftBankでしょうか?OYOやPaytm、Flipkart、Olaなど。SoftBankはまだまだ投資しそうな予感。以上。